2009年03月26日

[ベトナム] ロックオン

じっとりした視線を感じる。

こちらの顔を見ているのか、体を見ているのかは分からないけど、じっくり品定めをされている気分だ。

もしその視線をたどったのなら彼と目が合ったに違いない。

この宿の従業員の男と。


ボクの宿へのチェックインを担当したのはその男。
その仕草はいかにも「アタシ男が好きなの」と言いたげな動きだった。
台帳に名前や到着日を書き、彼と手が触れると後を引くような感触に何だかゾクッとした。

三階のドミトリーの部屋まで案内されると、ベッドが指定される。
入り口から一番近いところだ。ちなみに、入り口に扉はない。
「奥の方がいいんだけど」というと「今日は空いていないよ」と男は言う。(実は奥のベッドは空いていたと後で知る)
しかたなく、そのベッドの脇にバッグを下ろすと、男は部屋を出て行った。

はぁ~疲れた。

ベッドに横になり、体を休める。蒸し暑いのでTシャツも靴下も脱いだ。
目を閉じていると、日中の外からの光が一瞬さえぎられたような気がした。

!!!

さっきの男がベッドの前までやって来ていた!
いつの間に!何の音もしなかった、いや、気づかなかっただけか?
男はこちらを見ているわけではないが、どこを見ているわけでもない様子。
ボクは体を半分起こし、警戒しながら男から目をそらさずにいた。

すると、男はTシャツを脱ぎ始めた!
≪うおっ!!なんだそれ!こえぇーー!!で、なぜそこで脱ぐ!?≫

「う~ん、ホットね★」

と男は一言いうと、隣の部屋にいく。
ボクは気にしない様子で、手元にあったガイドブック越しにその男の様子を目で追って疑った。
意味もなくボクの前を2回、3回と通り過ぎるといよいよあやしい。(本当に足音が全くしないのが不気味!)
自分の中の警戒レベルがMAXまで上がる。
男をにらみつける。
≪何かしてきたら本気でぶっ飛ばさないと、こっちがやられるかもしれない。出発前に一年だけ習っていた空手が早くも役に立つとは・・・。≫


すると、奥の部屋に日本人らしき旅行者が戻ってきた。
つかさずボクはその旅行者の所に行って話をしようとする。

気がつくと、おホモさんは下の階に下りて行かれていた。
≪ふぅ。なんとか切り抜けた。あのまま二人の状態が続いたらどうなってたんだろー。≫

そして、外出しようと彼の前を通る度に完全にロックオンされるのであった。







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Posted by hiyo at 02:03│Comments(0)ベトナム
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