2010年05月02日

[エジプト] 見えている月

   


ダイビング講習の最終日にナイトダイブをした。

当たり前かもしれないが、夜の海に潜るのは初めて。普段ならそんなことちょっと怖くてできない。真っ暗な水の中に生き物がいるというのを思うとさ・・・。

インストラクターの後を追って水に入っていくとそういった怖さは感じなかったが、水面を通り過ぎる風に体が冷えた。
水中ライトを手に持ち、下へと潜っていく。
静かな世界と思いきや、自分のレギュレーターから出る泡の音が常に聞こえている。息をとめて耳をすましたなら音の少ない世界だということに気づいたかもしれない。

ライトで底を照らすと、眠った魚が動きをとめて体を流れにまかせている。光を向けると面倒くさそうに暗い場所へ移動した。
水面の方を見上げると、以外にもぼんやりと明るい。満月より少し欠けた月の光が海の中まで届いている。知らなかった世界だ。
遠く、海の奥を見ると真っ暗闇が続いている。

インストラクターの合図でライトを消した。
僕の目の前を泳ぐダイバーのフィンから光の粉が舞った。
その光はずっと光を灯しているわけでなく、5秒もすると薄っすらと消えていった。自分の顔の前で手をあおぐと、黒い世界にいくつも光が現れる。星みたいだった。流れ星より、ふわふわ星といったところか。
光の色はほんのりと緑色のような気がした。

夜光虫の海。   


Posted by hiyo at 21:37Comments(0)エジプト

2010年05月02日

[エジプト] デコが出る

キューバダイビングをやる人なら誰でも知っていると言われる海。

紅海。

そこでボクもダイビングのライセンスを取得することにした。


ダイビング講習二日目。午前と午後に一本づつ潜る。
中性浮力をとるのが難しく、意識してもなかなかうまくいかない。
自分の体がフワフワと常に同じ状態ではいられないので、深度や姿勢、場所を考えて調整しなければならない。
インストラクターはさすがにうまく安定している。

海の中に深く入っていく度に新しい世界が広がっている。
そして、どんどん奥へと吸い寄せられるようだ。
深い場所では遠くまで青が続く。
光がなくなっていくその先には恐さを感じる。

ぼんやりと大きくゆっくり動く魚が現れた。
体調は150CMは間違いなくある。
ナポレオンフィッシュという名。でこが出てる。
海の色とほとんど変わらない青の体はゆーっくりと泳いでいく。
その後ろ姿は格好がよかった。

僕は人間。
後ろから見て、堂々した大きい男になりたいと思ったりした。
海を以前より身近に感じる。
ドキドキしている。
  


Posted by hiyo at 21:35Comments(0)エジプト

2010年05月02日

[ヨルダン] すろー

ヨルダン→エジプトと入国するために、紅海を船で渡ってゆく。
船で国境を越えるのは日本を出発した時以来だ。

スピードボートとスローボートがある。先のほうはビュンビュンと飛ばしてあっという間に着いちゃいますよ~、10ドルほど高いですけどね
ーってことらしい。ボクがヨルダンで会った旅行者は皆こっちを使って渡ってきていた。いや、しかし10ドルの差というのは・・・・。

スローボートに決定。

スローボートは名前の通りやっぱりスローだった。向こう岸に到着する時間になってもいっこうに着く気配はない。100人以上はいる乗客をあっさりと収容してしまうほどの船の座席を二つ使い、体を投げて寝た。
寝心地がいいっていうのは全くない。どこか常に体を折りたたんでいたからだ。

気がつくと、夜は明けて朝になっていた。コンタクトレンズをつけっぱし睡眠のせいで目はカラカラ、シパシパ。周りの床にゴロゴロと転がって寝ていた人達の姿はなかった。ハッキリしない頭で船内を歩くと、ホールには食べ物やら何やらが散らかりまくっていて、乗船時の整った様子は消えていた。人もまばら。

風を受けに甲板に出てみると、帰国予定のエジプシャン、レバノン人の青年旅行者、出稼ぎの男達などなど、みんな思い思いに座って荒れる海を見ていた。
ボクもそうした。

自分がどうして海を見ているのか不思議に思えてきた。人ってなんで海を眺めるんだ?
「ねぇお父さん、あの人さっきからずっと海ばっかみてるよ?」
なんて自分の子どもに言われることがあったとしたら、どう答えようか。
そんなことしている動物は他にいないんじゃないかな?
それとも、犬も猫もフワフワ漂うカモメも実は海を眺めているんかな?

4時間の航海を予定していたスローボートは、出発してから12時間後に到着した。
充実した時間だったので、スローな紅海の航海は後悔しなかったな。  


Posted by hiyo at 21:33Comments(0)エジプト