2010年05月06日

[エチオピア] 開門

   
          [エチオピア] 開門 

        

早朝5時前。
バス広場ゲートの開門を待つ。

ボクら旅仲間5人は席取り組と荷物をバスの上にあげる組に分かれていた。
辺りはまだ暗いというのに、大勢の人が集まっている。手ぶらの人もいれば、自分の体よりずんと大きい荷物を背中に背負っている人も。
開門の気配がすると、人々は門の方を向く。顔だけではなく、体ごとそちらに向ける。
門の直前にはバスの席を確保するために男たちが並んでいた。ボクらの仲間もその中にいる。

「あれって、マラソン大会のスタート前じゃん」
「いや、きっと今年一番の福男を決めるんだよ」

そんなのん気なことを言って荷物組のボクらはちょっと後ろからその様子を眺めていた。

開門。

前方の男たちは猛烈な勢いでバスに突進していく。戦場か、ここは。
こんなときこそスーパーマリオに出てくるスターがほしい。
それに続いて、荷物を持った人々もなだれ込んでいく。
荷物組はそれぞれ2人分の荷物を抱えていそいそと歩いていった。

ボクらが自分たちの乗るはずのバスを見つけたときにはすでにバスは満員だった。
が、そんなことはお構いなしの連中が無理やり乗り込もうとぎゅうぎゅう押し合っている。
バスの中に仲間の姿と席を確認すると、ボクらは急いで荷物をバスの上にあげに向かう。
これが遅れると、後から荷物を上にあげる仕事をかって出る人間が現れるため、荷物を預ける人は手数料を払わなければならなくなる。
日本円にしたら大した金額ではないかもしれないが、今のボクらにとっては昼飯が一回食べられる分のお金。

だから、肩にバッグがミシミシ食い込むのを我慢しながら2人分のバッグを抱えて、バスの後ろについているハシゴを登った。
荷物の重さで首元が少しすれた。ヒリヒリ。

人をかき分け、3回押し戻され、バスの中に入るとようやく席に着いた。
「よく取れたね!よく頑張った!」
というねぎらいの言葉はきっと席取り組に聞こえていない。2人とも言葉無なく、ぐったりとしていた。見るからに疲れてる。
そして、バスが発信する前にはもう顔を伏せて寝ていた。

一通り客が席に着き落ち着くと、次は物売りの人や物乞いの人が入れ替わり入ってくる。
バスに「乗る」だけで体力を使ったボクらは何かを買うでもなく、そんな行き来を見ていた。

道路の休憩時間。
「ちょっとこれ見てよ。ひどくない?」
と仲間の1人が破れたジーパンを見せてくれた。
その顔は照りつけるアフリカの太陽のごとく充足感に満ち。



※写真は席取りを仕事としている男。
こんな体ですごく爽やかなヤツだった。
  



Posted by hiyo at 23:03│Comments(0)エチオピア
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