2009年05月05日
[カンボジア] 物売りのトモダチ

アンコール遺跡群を自転車で周った。
もともと自転車を持っていったわけじゃなく、町で自転車を一日だけレンタルした。
早朝、日が昇る前に宿を出発。キコキコキコキコ。
地図を持って遺跡を見てまわるのはまるでスタンプラリーでもしているような気分だ。
途中、村人や子ども達が声をかけてくるので、両手離し運転でおどけてみせると、空を叩くような気持の良い笑い声が通り過ぎた背中に返ってきた。
ほっほーぅ!!
嬉しくなって、どうやったらもっと笑わせられるか!と自転車の上でおかしな格好をいろいろ試した。
夕方、日が沈むのを遺跡から見ようと考えたボクはビューポイントの近くで体を休めることにした。
一日後先考えずに走りまくった体はガタガタのクタクタだった。おまけに喉もカラカラ。
座って池を眺めていると、物売りの子ども達がやってくる。
5~6人の小学生以下の女の子達はそれぞれが自分の家で販売しているお土産物を手にしている。
その中で一番歳上らしき女の子がボクにズボンを勧めてきた。
思いのほか、好みのデザインで値段も安かったので、
「もうちょっとみせてもらえる?」と言った。
女の子は喜んで自分の店に戻っていく。
すると、ボクを取り巻いていた子ども達の後ろで、見覚えのある顔が浮かない顔でこちらを見ていた。
午前中に、この場所を一度通ったときに、一緒に遊んだソカンという女の子だ。9歳くらい。
ボクの方に近づいてくると、
「午前中には私のお店でぜんぜん見てくれなかったのにどうして?」
と涙ぐんでいる。
確かにその子が最初に自分の店を見ていってほしいと言ってきたが、そのときは全く取り合わなかった。
何か悪いことをしたような気になった。
もしこの子の親が仕込んだ涙ながらの芝居なら本当に大したものだけど、ちょっとそういう風には見えない。
さっきの年上の女の子が戻ってきたが、ソカンの目の前でその子の物を買うのは気が引けたので断ることにした。
「なんでよー。せっかくもってきたのにー。」
と年上の女の子は怒り始めた。当然だ。
しかし、疲れていたので事を収拾する余裕がなかった。
日の入りには少し早いが、夕陽の頃合になってきたのでその場を去ることにした。
ソカンにあいさつをすると、ほかの子が足を止めている中、彼女はついてくる。何も言わない。
少し後ろを歩くソカンに「ごめんね」と言うと、「ダイジョウブ」と片言の日本語がぶっきらぼうに返ってきた。
自転車に乗って「それじゃあ」と言うと、ソカンは「バイバイ」とそれに続けて冗談ぽく「お兄さん飲み物買う?」と言った。
笑って断ると、その場を離れた。
10mほど行くと、
「バイバーイ!」
と女の子のグループに戻ったソカンが小さく手を振っていた。
その後、太陽は地平線に沈んだ直後に一番雲をオレンジに染めていた。
Posted by hiyo at 22:50│Comments(0)
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