2009年02月16日
汗と涙と血と握手の出発①

情けなくも押し殺した表情からは涙と鼻水が、
大荷物を抱えて駅まで駆け込んだ体からは熱気と汗が、
切れた唇からは血が、
最終電車に乗り込んだ直後、ボクから流れていた。
まさかこんな状態で旅が始まるなんて思いもしなかった。
出発直前。
駅のホームまで、数人の友人たちが走って駆けつけた。文字通り「走って」駆けつけたおバカな連中である。
つい数時間前まで「出発祝い」として一緒に飲んでいたのだけど、時間が迫ってきたのでボクは仲間に礼と挨拶をして、タクシーを捕まえた。
すると、何を思い立ったか彼らはホームまで走って見送ることを決めたようだった。
7月の頭。初夏である。
駅のホームでは自分を含めた6人の男が汗をかき、息を切らしてひと気のないホームに集まった。
出発まではあと5分もない。
一人一人と再び別れと激励の挨拶を交わす。
しかし、最後にまわってきたヒロとは一言の言葉すら交わさなかった。
互いに顔を合わせず下を向いたまま。
別にお互いを嫌い合っているわけじゃない。おそらく、その反対の反対の反対だ。
何か言葉を発しようとすると、目頭が熱くなり、それ以上続けられなかった。代わりに、誰より固く握手をした。
≪あれで言わなきゃならない「ありがとう」の気持は伝わったか≫
と電車の席に着いてから思い返した。
つづく。
大荷物を抱えて駅まで駆け込んだ体からは熱気と汗が、
切れた唇からは血が、
最終電車に乗り込んだ直後、ボクから流れていた。
まさかこんな状態で旅が始まるなんて思いもしなかった。
出発直前。
駅のホームまで、数人の友人たちが走って駆けつけた。文字通り「走って」駆けつけたおバカな連中である。
つい数時間前まで「出発祝い」として一緒に飲んでいたのだけど、時間が迫ってきたのでボクは仲間に礼と挨拶をして、タクシーを捕まえた。
すると、何を思い立ったか彼らはホームまで走って見送ることを決めたようだった。
7月の頭。初夏である。
駅のホームでは自分を含めた6人の男が汗をかき、息を切らしてひと気のないホームに集まった。
出発まではあと5分もない。
一人一人と再び別れと激励の挨拶を交わす。
しかし、最後にまわってきたヒロとは一言の言葉すら交わさなかった。
互いに顔を合わせず下を向いたまま。
別にお互いを嫌い合っているわけじゃない。おそらく、その反対の反対の反対だ。
何か言葉を発しようとすると、目頭が熱くなり、それ以上続けられなかった。代わりに、誰より固く握手をした。
≪あれで言わなきゃならない「ありがとう」の気持は伝わったか≫
と電車の席に着いてから思い返した。
つづく。
Posted by hiyo at 15:13│Comments(0)
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